■ グローバル/リージョナル/ローカル・パーソナル(2010年10月)
 我々は、原始の狩猟社会から、農業社会、工業社会を経て、そして今、情報社会の創出に向けて突き進んでいる。日本は、アメリカに次ぐ第二のコンピュータ導入/保有国として、また情報処理先進国として、その先駆を果たしてきた(とされている)。しかし本当の意味において我が国は、情報社会創出に向けて先駆的な役割を果たしてきたと言えるだろうか。そもそも、目指す情報社会とはいかなる社会なのか。本当に理解できているのだろうか。改めて問い直して見たいというのが、本論の立ち位置である。

■ 情報社会を生き抜くためのサイバー軍創設(2010年11月
 尖閣列島での領海侵犯記録情報のインターネット公開事件および公安当局の警備情報の漏洩事件は、来るべき情報社会の厳しい側面を提示して見せた。情報社会は、情報によって様々な恵みをもたらすだけではないことを、改めて思い知らしめてくれた。アメリカ、中国がサイバー軍の創設を明らかにしたのは今年になってからである。しかし決して、今年になって初めて創設したという意味ではない。その存在を公に認めたというに過ぎない。合わせて、サイバー軍の規模などを発表しているが、その内容がすべてだと信じているものは一人もいない。呑気な日本政府も情報管理を口にし始めたようだが、サイバー軍の創設を本気で考えるまで意識が高まっているとは思えない。しかし現実は、今回の領界侵犯事件だけでなく、外資による日本領土内における土地買収が着々と進むなど予断を許さない状況になっている。改めて、世界における日本国、日本における企業、企業における我々自身の存在を考えさせられる。

■ サイバーテロとされたウィキリークス(2010年12
 ウィキリークスによる機密文書のインターネット上への公開行為をめぐって、各国政府は一斉に批判の声明を出している。ウィキリークスの情報入手方法は関係者の内部告発がほとんどだとされ、すでに入手済みの情報は25万件にも達すると言われる。これまでに公表された300件余に比べると凄まじい量だが、正確に確認されているわけではない。果たして彼らの行為は情報社会における正当な情報処理活動だと言えるものか。あるいはサイバーテロと見なすべきものか。判断は難しい。だがしかし、彼らの行動パターン自体が内包している危うさもいくつか指摘できる。事の成り行きによっては、かなり深刻だと言える。もしも彼らが各国サイバー軍に逆利用されるようなこととなったら。来るべき情報社会を生き抜くため、我が国も本格的なサイバー軍の創設が必須だと前号にて主張したが、改めて、サイバーネット時代の世界における日本国、日本における企業、企業における我々自身の存在を考えさせられる。

■ 対ウィキリークスでCIAにタスクフォース(2011年1月)
 新年に当たって、サイバー空間をフル活用しなくてはならない情報社会とは何か、我々は情報社会という世界で、どういう行動様式(ビヘイビア)が求められるのかを、改めて考えていきたい。個人所有の象徴であるパソコンが、インターネット接続されることで地域的つながり、世界的連携へと通じる社会になってきた。ローカル/パーソナルな存在が、同時にリージョナル、グローバルな存在に直結しているということだ。極く個人的な行動が即世界的な行動に通じてしまう、それが情報社会である。クラウドサービスが強く主張される今日、各国政府、地方自治体そして世界中の企業/団体をローカル/パーソナルな出発点として、リージョナル、グローバルな大規模連携を想定する時代を迎えた。情報社会の形成が、より現実化してきたと言える。特にシステムリソースの自前所有一辺倒から第三者が提供するシステムリソースの有効活用を指向できる時代の幕開けに注目したい。来るべき情報社会では、我々にはどんなシステム活用ビへイビアが求められるのか。誰もが納得し、コンセンサスのとれた方向で情報社会が機能した時、我々がこれまで味わったことのない素晴らしい世界が実現できるものと確信したい。

■ 何故 マスコミメディアを選択するのか(2011年2月)
 ツイッターへの書き込みで国会議員になったとか、大臣にまでなったとかいう仁が現れれば、一方では、既存マスコミからの取材要請にはケンモホロロ、鼻にも掛けなかった小沢一郎元民主党党首が、インターネットメディアに長時間ライブ登場するなど、記者クラブ制度でノウノウとしてきた大手マスコミを牽制している。マスコミメディアを取材される側が選択する社会になった。まさに、情報社会とは何かをさぐりつつ、我々の行動様式自体が変わりつつあることを象徴しているようだ。併せて、国を変えるには、我々自身が変わらなくてはならないだろうし、国会議員にも変わってもらわなくてはならない。当然、税金の使い方、使い道も変えてもらわなくてはならない。できれば、将来的に国の輸出産業に成長する可能性がある分野への税金投入をしてもらいたい。情報社会とは、我々国民に繁栄と幸せをもたらすものでなくてはならない。そういう社会の創造を叶えるコンピュータ活用を考える。それがコンピュータサイエンスの原点であると思う。

■  加速するメディアシフト(2011年3月)
 情報社会が着実に進展している様子を中東/アフリカ諸国に起こった一般国民の蜂起に見た。結果として、長年続いた強権独裁政権が崩壊している。注目されるのは、その動きが周辺隣国に連鎖していることだ。情報社会における原点パワーである情報の威力を強烈に、しかも鮮明に見せつけている。また改めて、国家とは国民が主体だということも教えてくれた。国状によっては、一時的に強権政府が必要なとき、あるいは絶対権力者が必要なときがあるだろう。しかし長期に渡ると、権力は必ず腐敗する。中東/アフリカだけでなく、中国、北朝鮮、ロシア、ミャンマーなど、アジアや日本を取り巻く周辺にも同じ危うさを持つ国々が存在していることを気付かせてくれた。クラウドサービスも単なるコンピューティングファシリティの提供ではないことも徐々に見えてきた。このほど崩壊の憂き目にあっている弾圧政権の共通項は、情報の独占である。情報を独占管理することで国民を統制してきている。クラウドセンターの管理の仕方によっては、電子政府丸ごとを他国のベンダーに統制管理されてしまう恐れすらある。

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  情報社会を考える

情報社会作りに、どう関与しどう貢献していくか











































































 コンピュータサイエンスとしての観点から、我々人類が目指す情報社会を展望する

 キーテクノロジー その5 「M-BIM
 キーテクノロジー その4 「システムリソースマネジメント」
 キーテクノロジー その3 「スマートネットワークプロジェクト」実証実験
 キーテクノロジー その2 「国家情報セキュリティセンター」
 
キーテクノロジー その1 「スーパーコンピュータ」
  ■ 情報社会では、国力は何で決まるか
      その原動力スーパーコンは今、大きく変わろうとしている。
      従来のように、スパコンの大規模化や半導体改善だけでは生き残れない。
      世界の情報社会で生き残れる道を「進化方式の開発」と呼び注目されている。
  ■ 目前のライバル、アメリカのスパコン政策は今
      世界中の60億人分の生涯データを即時検索できることを狙っているGoogle方式とは。
      オバマ政権が企てる「開かれた政府」とは何か。
      その「開かれた政府」が公開する全政府データを即時検索するには、どんなスパコンが必要か。
      今までには考えもしなかった「劇的に変わるスパコン」とは、どんな機能と性能を持つか。
  ■ 最重要課題になるスパコン開発
      スパコンがこれからの情報社会の国家存続競争の最重要課題となる。
      これに、4億人の米国、12億人の中国、13億人のインド、30億人のアジアが、国の威信をかける。
      大臣が「なぜ二番では駄目なのか」といっているようでは、第二、第三の尖閣問題を誘引する。
      毅然とした外交ができる政府を確立するにはスパコン政策が必須である。
  ■ 米国DARPAの例に見る「次世代スーパーコンピューティングの未来像」
      これによると、次世代スパコンの開発を支える技術こそが、軍の研究機関の目標になっている。
      これが国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)の提案だ。
      具体的に、将来の計算システムの性能を劇的に上げる革命的な取り組みを求めている。
  ■ どうするニッポン


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